シーズ側とニーズ側のギャプを埋めるためにオープンイノベーションが有効なワケ。 個人発明者にもやり方次第で、大きな成功のチャンスがあります。

皆さん、こんにちは!

最近の技術革新は、大学で創出された基礎的な技術をスタートアップやスタートアップを買収した大企業により商業化されることで成されています。

したがって、研究者などの発明者から企業への技術の移転、すなわち「技術移転」を成功させることが技術革新の鍵なのです。

ニーズとシーズ

「技術移転」においては、「シーズ」、「ニーズ」という言葉がよく使われます。

例えば、大学等の研究機関は「シーズ」側、研究機関の研究を商業化する企業を「ニーズ」側といいます。すなわち、この場合、大学は、商品などの種(シーズ)になる新しい研究成果を創出し、企業は、新たな商品を購入する消費者の需要(ニーズ)を持っているというわけです。

そして、ニーズ側のニーズを、シーズ側のシーズが満たす時、技術移転が成立するというわけです。

ニーズとシーズの間のギャップ

しかし、話はそんなに簡単にいきません。

技術の商業化の場合、ニーズとシーズの間には「ギャップ」があり、完全に合致することは無いからです。

時間的ギャップ

まず、研究シーズは「将来のニーズ」あるいは「まだ見ぬニーズ」を満たそうとするものが多いのに対して、企業のニーズは現在の顕在化したニーズであることが多いということがあります。

すなわち、ニーズの時間的ギャップです。

成熟度ギャップ

一方、企業側が大企業などの成熟した企業であって、現在のニーズよりも将来的ニーズのためにシーズを探しているような場合でも、企業が求めている程度にまでシーズが熟成していないことが多いということがあります。

このような場合、企業側としては、シーズの成熟度あるいは完成度が低いとして、興味を示しません。

文化的・地理的ギャップ

「技術」は言語や文化とはあまり関係なく普遍的であると言われます。とは言っても、シーズは形のある商品等と違い、未だ具現化していない単なるアイデアであるため、それをどのようにプレゼンテーションするかにより、企業側の評価が決まることが多いのが実情です。

この点、国際的な技術移転の場合には、言語や文化がコミュニケーションを妨げることが多く、シーズの価値、ニーズの意義が相互に伝わりづらいということがあります。

オープンイノベーション

そこで出てきたのが「オープンイノベーション」という考え方です。

「オープンソース」と誤解されている方が多いのですが、「オープンイノベーション」の意義は、ニーズとシーズをお見合いさせてくっつけるのではなく、「人」と「人」とをまずくっつけることがその本当の意義です。

すなわち、従来のR&D(リサーチ・アンド・デベロップメント)では、研究の後で開発を行う順序だったのにに対して、オープンイノベーションでは、C&D(コネクト・アンド・デベロップメント)すなわち、まず連携を先にし、その後で開発を行うという考え方です

R&Dでは、リサーチが成功しないとその後の発明者と企業の連携は無いのですが、C&Dでは、最初に発明者と企業が連携し、その後開発するという考え方です。

この考え方だと、門前払いはなく、とりあえず広く連携しようということになり、お互い心が開かれるというわけです。

軽い気持ちで企業にアプローチしよう

昔だと、企業は自前主義が強かったため、外部の技術は原則拒絶という考え方でした。

このため、個人発明家が企業にアプローチしても無視されるとか門前払いされることが多かったのです。

しかし、最近ではオープンイノベーションの考え方のもと、どの企業も、連携重視のため、最初から無視とか門前払いということはありません。

大企業ほど、ものすごく親切にしてもらえますので、軽い気持ちでアプローチしてみましょう。

ただし、国際技術移転の場合、言葉や文化の壁は依然としてあります。また、技術の開示においては、企業側は技術の盗用といわれないように最低限のリスク管理をする必要があり、知的財産権の取り扱いなど守らなければならない一定のルールがありますので、全くの素人の場合には嫌われるということもあると思います。

その場合には、我々のような国際技術移転会社や、バイリンガルのエージェント(弁理士・弁護士)等の専門家を利用することが有用になります。

また、そのような国際技術移転会社は、弊社のように、企業の委託により発明者に対する窓口になっている場合もあり、その場合にはすでに公開されているニーズに対しては開示に費用が掛からないことも多いのです。

スタートアップの設立も有効

また、企業によっては、個人よりもスタートアップとの連携を好む場合が結構あります。

この場合、連携の過程においてスタートアップを設立し、最終的に大企業にそのスタートアップを売却する形を目指すのがトレンドです。

どうでしょうか?

今回は、この辺で失礼します!

Development, News