ニーズの概略
概要:
BMWグループは、グレージングを通して太陽光から車内への赤外線(IR)放射を低減し、5Gなどのモバイル・ネットワークへの高い車内接続性とユーザー体験の向上を確保すると同時に、車内外のエネルギー流を低減する技術を特定し、評価したいと考えいます。
成功基準を満たした候補の技術には、BMWグループと共同でアイデアを評価・開発する機会が与えられます。
背景・詳細:
太陽光は赤外線(IR)の主要な発生源であり、車内を暖める原因となります。この温度上昇は、暖房、換気、空調(HVAC)システムの電力消費を増加させ、最終的に自動車の燃費を低下させる原因となります。
赤外線の影響を軽減するために、現在の技術では赤外線を吸収する金属コーティングを使用していますが、これは高周波(RF)の電磁波の伝送に悪影響を及ぼします。
車内接続は、ナビゲーション(GPS、GALILEOなど)や携帯電話(3G、4G、5G、6Gネットワーク経由)などのさまざまなサービスを提供するために、無線周波数(RF)通信を利用することに依存しています。この通信は、幅広い周波数帯域で行われています。2030年にはテラヘルツ(THz)帯域を探索する6Gが登場し、通信の未来はさらに高い周波数帯域へと向かうと予想されます。
車内接続性を向上させ、スムーズなユーザー体験を実現するために、BMWは、ガラス部品の可視光領域での透明性と高周波(RF)透過率を維持しながら赤外線を遮断するという課題に対処するソリューションを求めています。BMWは、赤外線の反射率と広い高周波の透過率を同時に確保するために、非金属コーティング、フィルムとコーティング技術、グレージングの加工技術を含む(ただし、これらに限定されない)興味のある技術や技法を求めています。
最も効果的なアプローチは、赤外線を反射し、可視光線透過率と高周波透過率を維持し、熱性能を維持し、自動車の使用ケースに典型的な環境要因(-40/+50℃、侵食、風など)に耐えることができるものです。
その他のアプローチとしては、アンテナ技術や車載用リピーターなどがあり、標準的な金属ガラスコーティングと組み合わせて使用することで、他の手段での接続性を確保することができます。
技術要件:
<主な成功基準>
BMWが推奨する技術提案には、以下のような特性が備えられていることが望まれます。
- 赤外線領域(太陽エネルギーの全透過率50%未満)、特に近赤外線(NIR)領域で実証された反射率
- 500MHz〜30GHzの領域で高いRF透過率を実現
- 可視域(300nm~800nm(約370~800THz))で70%以上の透明度、入射角65°でP-Pol Reflection 25%以上。
- ヘッドアップディスプレイ(HUD)対応
<望ましい要件>
- 成熟した技術であることが望ましい TRL 5以上(関連環境での概念実証など)
- ただし、アーリーステージのソリューション(TRL<5)も歓迎
- 2030年に大規模化する連続生産に適した技術
<考えられるアプローチ>
以下のようなアプローチが考えられます。
- ガラス部品に塗布する非金属コーティング剤
- 光学フィルタリング技術(ダイクロイック/干渉/偏光など)
- 特定の波長域を反射または透過させることができる屈折率の異なる多層(誘電)コーティング
- ガラスの電磁波フィルタリング機能を変更するグレージング加工技術(レーザー彫刻、ラミネート加工、その他の表面改質処理など)
その他、以下のようなアプローチも考えられます。
- アンテナ(透明アンテナまたは埋め込みアンテナ)
- シグナルリピーター(自動車内のモバイル通信を拡大するスマートな車載用リピーター)
- 希望するRF帯域での接続性を向上させる車載用ビームトラッキングシステム
<興味のないアプローチ>
- ガラス部品の可視光線またはRFスペクトルの透過に悪影響を与える技術。
グレージングとは:
窓ガラスの複数枚を組み合わせ、気密性や断熱性を高める技術を指す。つまり、車の窓ガラスは、複数のガラス層を積層した複合ガラスになっていて、その複数のガラス層の間に、気密性や断熱性を高めるための空気層が存在する。このような複数層構造によって、車内に外部の熱や音、紫外線を遮断する効果があるとされ、快適な走行環境を提供することができる。
連携形態:
- 共同研究・開発
- ライセンス
- 特許譲渡
- その他
技術成熟度(TRL):TRL4以上
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*上記掲載内容は、ジャパン・テクノロジー・グループ(JTG)が各ニーズの概要や要点を、独自に整理、要約、および翻訳(海外ニーズの場合)した上で提供しているものです。
BMW について
BMWグループの成功は、常に長期的な思考と責任ある行動に基づいています。同社は、モビリティの未来は、自律的で、完全につながり、電化され、共有されるものになると信じています。
常に一歩先を行き、未来のモビリティを形作ることは、同社の企業哲学の重要な部分です。同社は、明日の課題に対して、今日、革新的な解決策を見つけるためにたゆまぬ努力を続けています。BMWはオープンイノベーションを信条としており、イノベーションに協力可能なパートナーを募集しています。